「はたおりうた」に関心を持ち、
図書館で検索して見つけた絵本。
落ち着いた柔らかな色調が美しい。
静かに語りかけるような文体の、
アジアの昔話風の創作絵本。
(原話についての紹介がないので、
著者オリジナルの物語だろうか)
織り姫と彦星とを思わせるふたり、
おだやかな幸せを奪う隣国との戦、
心を込めた機織りを邪魔する大臣。
悲しみをこえ天上で結ばれる恋人、
残された美しい麻織物の技と歌声。
ほそーく ほそーく
あさ糸 つむいで
月のひかりを おりこんで
星のひかりを おりこんで
ながーく ながーく
二 四の 糸には 月のひかりを
三 五の 糸には 星のひかりを
ながれる星は 六から一に
月の光のような優しい余韻が残る歌。
いくどか読み直しても余韻は消えない。
作者はすでに他界されているけれど、
「ねずみおことわり」
「はるかぜとぷぅ」
「われたたまご」
など、幼かった頃に読み、
とても好きだった幾冊もの
絵本を思い出した。
他に多数の作品が遺されていると知り、
寂しいけれど、清々しいような
ほっこりと温かい気持ちになった。
まーふぁの布も、きっとそんな肌ざわり
なのだろう。
春の海(Bing Image Creator)

「断夫山古墳」こちら、ドワーフ・プラネット (the-wings-at-dark-dawn.com)
「かつて断夫山は、常日頃の立ち入りが
禁止されていましたが、三月三日だけは
入ることを許されました。
熱田の浜を眼下に見渡せるのは
この時だけでした。」
(名古屋市教育委員会の立て看板より)
名古屋市熱田区にある断夫山古墳は、
ヤマトタケルの妻ミヤズヒメを祀るが、
江戸時代の「尾張名所図会」によれば
三月三日だけ庶民にも解放され、
踏み入ることが許される場所だった。
旧暦三月三日は桃の節句であり、
元は宮中行事だった「ひな祭り」が
江戸時代、庶民にも広まったという。
ひな祭りを検索して思ったのだが、
断夫山古墳への三月三日の入所解禁は、
古代中国より伝来した「上巳」の風習の
名残りだろうか?
(以下、Wikipedia「上巳」より抜粋)
……中国では、漢初より両漢を通して行われた行事であり、『後漢書』礼儀志上には「官民皆な束流の水の上に潔し、洗濯祓除と曰う。宿き垢痰を去りて大潔を為すなり」とあり、官民そろって水辺に出て祓除をする行事であった。
三月上巳に限らず、季節の節に同様の祓除が行われ、この祓除の行事が宮中では洗練され、曲水宴として人工の流水に盃を浮べて酒を飲む宴と変遷した。唐代に至ると、曲水宴は宮中だけでなく上流階級の私宴となり、次第に上巳節は本来の川禊が失われて水辺での春の遊びと変化し、庶民にとっては農事の節日へと展開していった。
春遊踏青という一種のピクニックを行う。杜甫が『麗人行』で「三月三日天気新、長安水辺多麗人。」と述べたように、これは若い男女の恋愛のチャンスであった。また野合が許されることもあった。近代でも『善化縣治』の記載のように絶えてはいなかった。
(抜粋終わり)
上巳 – Wikipedia
宮簀媛 – Wikipedia
ミヤズヒメ伝説の残る断夫山古墳から
眺める、桃の節句の春の海。
桃は中国の西王母信仰とも縁が深く、
西王母は、
織物(絹・蚕)や星(オリオン座)など
多様な要素を含む女神である。
ミヤズヒメは、
川辺で布をさらしているときに
旅するヤマトタケルと出会う。
織り姫である西王母の面影がほのみえる
古代尾張の姫(草薙剣の巫女)かもしれない。
トヨタマヒメ幻想 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)
( 2023.11.11 イラスト作成 Bing Image Creator )
龍宮の姫の相聞歌

赤玉は
緒さへ光れど
白玉(しらたま)の
君が装(よそ)ひし
貴(たふと)くありけり
阿加陀麻波
袁佐閉比迦礼杼
斯良多麻能
岐美何余曽比斯
多布斗久阿理祁理
( 古事記 712年 上巻・歌謡 )
白玉(しらたま)とは? 意味や使い方 – コトバンク (kotobank.jp)
トヨタマヒメ – Wikipedia
トヨタマヒメ幻想 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)
( 2024.1.10~11 イラスト作成 Bing IMage Creator +微修正 )