白い女神


「はてしない物語」が映画化される際、
作者のミヒャエル・エンデは
「幼ごころの君」のイメージを
「日本の巫女のような姫」と要望したが、
かなわなかったという。
また幸運の竜フッフールについて
「西洋のドラゴンではなく、
東洋の龍のようにしてほしい」
と希望して、
あの白竜のデザインになった、と。

ファンタージェンの女王に、
主人公のアトレーユがつけた新しい名は
「モンデン・キント(月の子)」だった。

ミヒャエル・エンデにとって、
ファンタージェンを救う
(姫を再生させる)名が「月の子」、
その姫の姿が「日本の巫女」の
イメージだったことは、とても興味深い。

月の姫巫女、というロマン。

山幸彦が釣り針をさがして竜宮に行き、
井戸の傍らの樹上に身を隠していると、
水汲みの少女らが水面に映った人影に
気づく……山幸彦は水を求め、器の中に
身に着けていた白玉をふと吹き入れる。
白玉(真珠?)は器の底にくっついて
取れない。その報を聞いた竜宮の王は、
「その方は神だ」と判断。

樹上の山幸彦が、水汲みの少女の器に
吹き入れた白玉は、聖水に宿る月影の
比喩だろう。器の底について取れない
白玉は月影でなく、月神の実体なのか
と、ふいに古事記神話の意味を感じた。
竜宮の王の「その方は神だ」との判断
は、そうしたニュアンスだろうか、と。
聖水に月影を映す神事の痕跡……

樹上の神と聖水の組み合わせ。
定められた暦の日に(月暦)、
山上の松の枝を巫女が採って
井戸で汲んだ聖水に浸す神事
の記録を読んだけど、曖昧……
山上の松の枝、デュオニソス・
アイオン(風の神)の面影は?
相生(あいおい)の松という。
アネモネは風の花、アドニス
つまりデュオニソスの花?

デュオニソスを養女にして匿った
イノ(レウコテア)は海の女神。
白い女神。穀物の女神。

犬はなぜイヌなんだろう……
大犬座のシリウス……イノ……
語源的になにか繋がりがあれば
面白いのに……

イナンナ、イナ、イノ……

なぜ稲はイネって言うのだろう?
イナやイノと語源的に
なにか繋がりがあれば面白いのに?

大犬座のシリウスの
白い輝き……

イナ……イーナ……いいな!
イノ……イーノ……いいの!
イネ……イーネ……いいね!

強い肯定を表す語感なのかな……

山から海へと渡りながら
稲穂をゆらす風の神
水面に映る月影の神
そして
稲穂の女神(巫女)
水源の女神(巫女)

とりとめないイメージ……

日本語の源流を求めて – 岩波書店 https://www.iwanami.co.jp/book/b225879.html

国語学者の大野晋氏によれば、
イネはアワ・クロなどの語とともに、
稲作文化に伴い南インドから
日本に輸入された
タミル語起源の言葉だという。

ゆえに、イネが穀物の女神と
関連した言葉であっても
不思議ではないような……

国語学は厳密な世界ゆえ、遠巻きに眺める。
そして妄想に遊ぶ……(;^_^A



(2020.6.18~6.21 Twitter より)


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