残響

 
見知らぬ森、続く空
晴れぬ雲の壁、白紙のページに閉じ込められ
 
私は、たくさんの忘れ物を
指のすきまからこぼしてきた
 
前のページに戻ってさがすのは、やめておく
風にさらわれたページが、次から次へと羽ばたく
 
お終いまでめくり終え
風は、ほころびた本を旅立った
すべてを知っているだろうに
なんの重荷も持たず
風は旅する
 
昨日の私は、今日の私ではない
明日の私は、今日の私ではない
 
子ども達は、まっさらなページを
始めから旅する
さぁまだ見ぬ物語を、さがしに出かけよう
 
エメラルドの波のゆりかご、
化石の竪琴が
閉じ込めた歌をさがしに
 
 
 
 ( ポール・ヴァレリー「海辺の墓地」の残響 )
 
       (2013/12/25)
 
 
   
  ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より



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