胡蝶の夢のミステリー

草木がしげる季節の到来。
春分。
生い茂る緑は、古来より
山と河と三日月の神、
慈雨(ときには暴風雨)の神の
生命力の発露そのものとされてきた。
千の名を持つ神……その名を問うたび、
あてのない夢想にいざなわれる。

宮澤賢治は
「我に魔力を与えよ」
と木星に祈った。
怪力乱神はシヴァに当てはまる言葉だ……
不浄な世を浄化する災厄と恵みの神……
素朴な原初の暴風雨神が、
神話の物語素として巨大な水脈に成長、
文明が複雑な矛盾や問題を露呈するたび
亀裂から吹き出す地下水のように、
災厄神シヴァの破壊の神話が甦る。

以下、平安時代編纂の
「古今和歌集」序文より。
「力をも入れずして天地を動かし、
目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、
男女のなかをもやはらげ、
猛き武士の心をも慰むるは、歌なり 」

この鬼神という言葉は、
中国の論語「怪力乱神を語らず」
に基づくのだろう。
叙情性を重視する、
和歌の精神を刻んだ序文だ。

繊細な自然描写や、移ろう世に宿る情感。
わずか三十五文字が、
千年のときをこえて伝える世界。
さりげなく散りばめられた古い神々の面影、
その悠久のイメージのかけらを、
童話という形でスケッチすることは
出来ないだろうか、と夢をみる。
大洋の荒波を渡るのではなく、
波打ち際のさざ波と遊ぶように。

(2020.3.20 Twitter より)

「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」
(江戸川乱歩)

胡蝶の夢のミステリー。

震災後、虫や鳥の訪れに、
亡き人のメッセージを受け取った人が
多くいたという。
そういえば私も、蝶の羽ばたきに、
忘れていた季節や歌を思い出し、
凍てた惑いから覚めたことがある。

和歌と老荘思想との関連はあるのか
(ありそう、いやむしろ直系ではないのか)?
万葉集と漢籍の古典との関わりは、
たしか習ったことがあるけれど。
と、今さらながら疑問を抱いたら、
「幽玄」の美意識が
老荘思想の影響なのだとWikipedia に…..((;^_^A
習ったけど、忘れ果てていたかも。
基礎の基礎。

https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%B9%BD%E7%8E%84&oldid=75463464…古くは、『古今和歌集』の真名序において「興或は幽玄に入る」として用いられた。『古今和歌集』の撰者の一人である壬生忠岑は、歌論『歌体十種』の高情体の説明で「詞は凡そ流たりと雖も、義は幽玄に入る、諸歌の上科と為す也」と表現し、高情体を十種の最高位としている。

ますます漢字モードの迷宮に……
習ったことは忘れて、
自由な連想に任せよっかな。(;^_^A
真名序の文意はむずかしい……Orz

(2020.3.21 Twitter より)


しのぶもぢずり 誰ゆゑに

https://japanmystery.com/fukusima/mojisuri.html
日本伝承大鑑 福島「文知摺石」リンク。


福島市に伝わる鏡石伝承。

村長の娘・寅女と都から赴任した源融との悲恋。


鏡石を麦の穂でこすると

遠く離れた人の面影が映るという。

松尾芭蕉「奥の細道」に記載あり。


トオルとトラ、

遥か異国のトール神やトーラーにまで飛躍は無理でも、

巨石に宿る女神信仰の気配あり。

河原左大臣(源融)
小倉百人一首(14番)
『古今集』恋四・724

陸奥(みちのく)の
しのぶもぢずり
誰(たれ)ゆゑに
乱れそめにし
われならなくに


(2020.5.9 Twitter より)

君がため

     

小倉百人一首 光孝天皇(15番)
『古今集』春・21

君がため
春の野に出でて
若菜摘む
わが衣手に
雪は降りつつ

 

若菜を届ける相手は、もちろん
シノブくんだね……

(2020.3.22 Twitterより)