喉をふさいだ真冬の実が
私の歌をせきとめている
けれど私は忘れていない
雪がとけて春が来れば
光あふれて風が舞えば
林檎の香りの水が流れ
甘い歌声がひびくことを
ずっと私は忘れていない
知恵の実をかじる前から
私は樹であったのだから
私は根をうるおす水脈で
梢にやどる渡り鳥の卵で
今年もまた歌うのだから
( 2024.2.2 イラスト作成 Bing Image Creator )
常世の姫(Bing Image Creator)
春の羽音をきけば種をまき、
実りをいのって舞いました。
月あかりを杯の水にうかべ、
星の岸辺で機を織りました。
白珠の君の衣を縫うしじま、
わたしの眠りをさますのは
だれ?待ち人が訪れるまで
覚めないはずの夢の途中で。
三日月の船の旅人よ、
闇をわたる波の音よ。
黄金の実を手に持ち、
わたしを呼ぶ幻の人。
夢の庭深くわけいり、
知恵の枝を折りとり、
緑の苗をゆさぶって、
うつつの岸へ運ぶ人。
かえらぬ夜の名残に
あかつきの光を編み、
涙の栞をおとぎ話に
わたしはそっと
しのばせる。
( 2020.5.5 Twitter より )
( 2024.1.15~16 イラスト作成 Bing Image Creator +微修正 )
おとぎ話 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)
泉をのぞくと(Bing Image Creator)
泉をのぞくと、
過去・現在・未来が映る……
緑の髪の仙女が謎をかけて歌う、
あなたが落とした大切なものは何?
こんこんと湧く水底から、
拾われ、地に芽吹くのは何?
( 2011.11.24 & 2020.4.16 facebook より 加筆 )
( 2024.1.10 イラスト作成 Bing Image Creator )
UNDINE – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)
人魚姫(Bing Image Creator)
真珠の百合の冠よりも
海の底の赤い花がすき
ゆれるお日さまみたいな
赤い花の髪かざりがすき
歌えないけれど
二度と歌えないけれど
あなたのそばで
あなたの声をきく
二本の足で
あなたと歩く
それだけ望んだの
望んだのは私なの
そして私は風になった
お日さまのおつかいで
赤い花をゆらす
そよ風になったの
( 2021.8.13 & 2024.1.11 ブログより 加筆 )
( 2024.1.10~11 イラスト作成 Bing Image Creator +微修正 )
吾亦紅(ワレモコウ) – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)
龍宮の姫の相聞歌
赤玉は
緒さへ光れど
白玉(しらたま)の
君が装(よそ)ひし
貴(たふと)くありけり
阿加陀麻波
袁佐閉比迦礼杼
斯良多麻能
岐美何余曽比斯
多布斗久阿理祁理
( 古事記 712年 上巻・歌謡 )
白玉(しらたま)とは? 意味や使い方 – コトバンク (kotobank.jp)
トヨタマヒメ – Wikipedia
トヨタマヒメ幻想 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)
( 2024.1.10~11 イラスト作成 Bing IMage Creator +微修正 )