霧のむこう


深い霧の中にたちつくし、
路を急いではいない私は
戸惑いつつ凪いだままで
ただ待っている、何を?
霧のむこうのまたたきを。

無闇に迷ってはいない、
はずだけれども、なぜか
ずっと悲しい。もともと
それが常なのか、新しい
わけがあったかすら忘れ。

忘れはてた頃に、
霧のなかに灯る
ちいさな地の星
をみる。
ほんのつかのま……

( 2020.3.2 Twitter より )

泉をのぞくと


泉をのぞくと、

過去・現在・未来が映る……

深い森の仙女が謎をかけて歌う、

あなたが落とした大切なものは何?

こんこんと湧く水底から、

拾われ、地に芽吹くのは何?


(2011.11.24 facebook より)

春の約束


春を約束しつつ、運命の女神は、

時の輪をめぐらせ、機を織る。

天の河のほとり、

記された星々の文字をやがて飛び越え、

訪れるはずの翼の羽音を待ちながら。


(2011.11.24 facebook より)

またね。


もうお別れだね、ふいに。
まだこっそりパーティの
予定はあるみたいだ……

暗くなるまで鬼ごっこで、
暗くなってもまだお庭に。
さよなら言えずさよなら。

また遊びましょ、またね。
わたしの手持ちの言葉は、
それしかないの、またね。

たくさん遊んだけど、
まだ遊びにおいで、
いつかのこんど。


(2020.2.29 Twitter より)

彼の名は、星の名。

彼は、シリウスを踏みこえ、夜明けの太陽を迎えにいく。

彼の通過で、新しいサイクルが始まる。

乾きと熱砂の国には恵みの雨が、寒さと薄明の国には金の陽光が。

芽吹きと潤いの季節が到来する。

彼に会うために古い儀式や神官の助けは要らない。

何故なら彼が訪れれば人々は気づく。

新しい夜明け・季節が来た、と笑顔で祝祭を催す。

彼の名は、星の名。

荒れ地を沃野に変え、病を癒し、彼を求める誰かを救う腕を持つ……

                                

(2014年 2月11日 facebook より)