別れの曲より

別れの曲(ショパン) より

ながい夜
銀河の水面を
わたる人よ
はるかな岸にともる
あかつき 光ほのか
去りゆく船かげ
みおくる星の波間
静かにすべりゆく翼
心はおいかける
流れるわが涙
さよなら旅人よ
朝をよぶ オリオン

とこしえの花さく
館にねむる人よ
ゆたかな非時香果(ときじく)
みのる園で 紡ぐうたよ
こがねの杯ささげて
いのる乙女
異国のたかき知恵みちた
面影あでやかに
わすられぬ わが夢
わかき日(さよなら)
いろあせぬ星影の
舞姫

song by NEUTRINO :
Merrow NAKUMO JSUT

(使用音源)MIDI : 音楽研究所 様より
別れの曲の楽譜とmidiやmp3試聴と無料ダウンロード (mu-tech.org)

illust : ginmuru-meru & fairy-scope
poem &music 編集 : fairy-scope

2022 ©fairy-scope.com


きらきらひかる

ことしのぼたんは
よいぼたん
お耳をからげて 
すっぽんぽん
もひとつおまけに 
すっぽんぽん

げんきよく歌いながら
かけてきたのは、
きんいろの子ぎつねです。
その子ぎつねの耳かざりの
きいろい花がいちりん、
ふわりと風にとばされて
キンポウゲのさく野原に
おちました。

「ここはどこ?」
花の子は、目がさめてびっくり。
もといた野原にはたくさんの
きいろい花のお友だちがいましたが、
今みまわせば知らない花ばかり。
キンポウゲたちは、花の子に
とてもよくにているけれど、
どこかべつの花でした。
花の子は、
いちめんキツネノボタンのさく
野原からきたのです。

「きがついたよ」
「よかったね」
キンポウゲたちがささやきました。
まいごの花の子は、
キンポウゲのやわらかな花びらで、
ふかくねむっていたのです。
あたりは、もう夕ぐれ。
「おきるのを、ずっとまってたよ」
げんきな声がひびきました。

「お客さまがこないんだ、
きみのほかにはだれも」
まいおりてきたのは、
アサギマダラチョウでした。
「もしよかったら、
いっきょく、笛でもいかが?」
「お客さま?笛?」
花の子がくびをかしげると、
アサギマダラは、にっこり。
「なかまのチョウたちは、
夜にはねむってしまうけど、
ぼくは月や星のあかりが
とてもすき」

いちめんのキンポウゲが、
よいの風にふわふわ、
月あかりにきらきら、
ひろい星の原っぱのよう。
ほんのりひかる花びらにすわり、
アサギマダラチョウは
草笛をふきました。
そして、
とおい山や海をこえ、
空たかく風にのって
旅した思い出を
ものがたりました。
花の子は、夜ふけまで
それに耳をかたむけました。

どこから きたの
ふしぎな あなた

きらきら ひかる
なみまを こえて

ほしくずの うみ
たびして きたの

どこから きたの
ふしぎな あなた

きらきら ひかる
よあけを まって

つきかげの みち
たびして きたの

アサギマダラの草笛に、
花の子のすんだ歌声が
かさなってながれると、
もう夜明けです。

さんぽにとおりかかった男の子が、
キンポウゲの野原で、
きらきらひかる花をいちりん
ひろいました。
「わたしはまいご。でも、
ともだちのふく草笛が、
はるかなせかいの歌を
おしえてくれました」
花は、まほうのような声で、
旅するチョウのことを歌いました。
そして歌いおわると、
男の子の手のなかで、
花のあわいひかりはきえました。

朝日のかがやく空を、
アサギマダラがひらりと
まいとんでいきました。
男の子は、野原でひろった
キツネノボタンを、
花の波にほうりなげることは
どうしてもできず、そっと
ポケットにしまいました。

そして?

ひろわれたキツネノボタンは、
男の子のへやで、
押し花のしおりになりました。
昆虫図鑑のチョウチョのページに、
たいせつにはさまれています。
もちろん、
アサギマダラのページですよ。

あの花の子のふしぎな歌声は、
アサギマダラのはねにのり、
山や海をこえ、いまも
とおく旅しているはずです、
きっと。


(2021.3.10 Twitter より 2021.5.5 & 2022.6.21 推敲)

( song by NEUTRINO : Merrow 2022 ©fairy-scope )



風のしおり

風のしおり
(ペツォールトのメヌエットより)


雨のしずく 窓をつたう
君のかげ さがしてる
夏のおわり

傘もささず ぬれてはしゃぐ
あの笑顔 あのしぐさ
光のなか

おとずれる 足音を
まちわびる ながい午後
つみかさねる季節
風のしおり

すんだ光 窓をひらく
君のこえ ひびいてる
冬のおわり

風にむかい ほほを燃やす
その笑顔 そのしぐさ
明日をうたう

おとずれる 足音を
まちわびる さむい朝
つみかさねる季節
風のしおり


VOCALOID : Ken

効果音 : 効果音ラボ 様よりお借りしました。
https://soundeffect-lab.info/

a homage to Arthur Rackham “UNDINE 1909”

illust & poem & music 編集 : fairy-scope

2022 © fairy-scope.com


ポランの広場

ポランの広場
宮澤賢治 作詞・編曲
(原曲 George Evans)


つめくさの花の 咲く晩に
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒を呑まずに  水を呑む
そんなやつらが でかけて来ると
ポランの広場も 朝になる
ポランの広場も 白ぱっくれる。

つめくさの花の かほる夜は
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒くせのわるい 山猫が
黄いろのシャツで出かけてくると
ポランの広場に 雨がふる
ポランの広場に 雨が落ちる。



(使用音源)
MIDI : 音楽研究所 様よりお借りしました。
    http://www.mu-tech.org/Traditional/In…
効果音 : 効果音ラボ 様よりお借りしました。
    https://soundeffect-lab.info/

VOCALOID : Ken
illust & music 編集:fairy-scope

2022 ©fairy-scope.com


緑のお池

a homage to Arthur Rackham “UNDINE 1909”


緑のお池が ありまして
緑のお目々の男の子
銀の髪さらさら その上に
お皿が一枚 のってます。

緑のお池が ありまして
赤いおくつの女の子
お魚のぞいた そのはずみ
緑の水に おちました。

緑のお目々の男の子
すいすい泳いで 池のそこ
おぼれた女の子を ひっぱって
緑の草へと はこびます。

緑のお池が ありまして
岸辺でめざめた女の子
銀の髪さらさら 見たような?
赤いおくつが ありません。

きっと おくつは池のそこ
今ごろお魚の家の屋根
それとも だれかの宝物・・・



( 2010.8.1 旧ブログより )

こちら、ドワーフ・プラネット (the-wings-at-dark-dawn.com)

緑のお池(Bing Image Creator) – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)