藤衣


ゆかりあれば薄紫の波にゆられ
紡ぎ歌が潮風の便りに届くでしょう
たとえ粗い衣が朽ちるほど時が流れても

ゆかりあれば薄紫の雨につつまれ
奏でる羽音 甘く香る春は巡るでしょう
かたい鱗のつぼみも蝶へと花開くから

東の果ての島に生いて
異なる育ちの人々と八百万の語り伝えを
まめやかに結い 編み 織り上げて

はるかな星の河を私は地上におろします
深い波にゆられ 銀の雨につつまれ
夜のほとり 薄紫の雲をなびかせて


( 2024.4.22 イラスト作成 Bing Image Creator )


霍公鳥 鳴くべき時に(Bing Image Creator)


敷治奈美能 佐伎由久見礼婆 保等登<藝>須 奈久倍<吉>登伎尓 知可豆伎尓家里

藤波の
咲き行く見れば
霍公鳥
鳴くべき時に
近づきにけり

ふぢなみの
さきゆくみれば
ほととぎす
なくべきときに
ちかづきにけり


田辺福麻呂(万葉集 第18巻 4042番歌)
題詞 (于時期之明日将遊覧布勢水海仍述懐各作歌)


万葉集 第18巻 4042番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ (manyoshu-japan.com)

田辺福麻呂 – Wikipedia

田辺福麻呂(たなべのさきまろ)とは? 意味や使い方 – コトバンク (kotobank.jp)

布勢水海 – Wikipedia



( 2024.4.22 イラスト作成 Bing Image Creator )


藤波の影なす海の(Bing Image Creator)


藤奈美<乃> 影成海之 底清美 之都久石乎毛 珠等曽吾見流

藤波の
影なす海の
底清み
沈く石をも
玉とぞ我が見る

ふぢなみの
かげなすうみの
そこきよみ
しづくいしをも
たまとぞわがみる


十二日遊覧布勢水海船泊於多 灣望<見>藤花各述懐作歌四首
大伴家持(万葉集 第19巻 4199番歌 )

万葉集 第19巻 4199番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ (manyoshu-japan.com)


( 2024.4.22 イラスト作成 Bing Image Creator )