リリスの歌


喉をふさいだ真冬の実が
私の歌をせきとめている
けれど私は忘れていない

雪がとけて春が来れば
光あふれて風が舞えば
林檎の香りの水が流れ

甘い歌声がひびくことを
ずっと私は忘れていない
知恵の実をかじる前から

私は樹であったのだから
私は根をうるおす水脈で
梢にやどる渡り鳥の卵で

今年もまた歌うのだから


( 2024.2.2 イラスト作成 Bing Image Creator )


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