かがり火

星の河の岸辺で
かがり火を焚き
夜が明けるまで

舞姫はおどる
三つ星の姫は
おどる

瓜二つの星姫が
対岸の門を開き
夜が明けるまで

夢みる暁姫が
目覚めるまで
おどる

こごえる夜空の
オリオンの星座
ふたごの星座

年越しの焚火
うたい舞って
いのる

いのり生きた
生きのびた
はるか昔の
民の物語


( 2022.1.17 Twitter より )


星の民 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


狼森の火

すきとほつたばら色の火がどん/\燃えてゐて、狼(オイノ)が九疋(くひき)、くる/\/\、火のまはりを踊つてかけ歩いてゐるのでした。
 だん/\近くへ行つてみると居なくなつた子供らは四人共、その火に向いて焼いた栗や初茸(はつたけ)などをたべてゐました。
狼はみんな歌を歌つて、夏のまはり燈籠のやうに、火のまはりを走つてゐました。
「狼森のまんなかで、
火はどろ/\ぱち/\
火はどろ/\ぱち/\、
栗はころ/\ぱち/\、
栗はころ/\ぱち/\。」

宮沢賢治 狼森と笊森、盗森 (aozora.gr.jp) より


子ども達の神隠しの情景が、
影絵のように浮かんでくる。
平易な短い言葉だけで、
魔法のように描いた
郷土の香り豊かな世界。

言葉だけで十二分に美しい一方、
この童話の絵本やアニメーションを
観てみたい……
(そしてカッとなって、描いた)


( 2022.1.7 Twitter より )


狐こんこん白狐

堅雪かんこ、凍み雪しんこ。

宮沢賢治の童話「雪渡り」で、
狐の幻燈会に招待された
四郎とかん子は、
手土産に鏡餅を持って出かける。
田畑や野原に積もった雪が凍り、
十五夜の月がのぼる晩。

鏡開きした餅がある
小正月頃の物語だろうか。

「狐こんこん白狐、お嫁ほしけりゃ、とってやろよ。」
「四郎はしんこ、かん子はかんこ、おらはお嫁はいらないよ。」
「狐こんこん、狐の子、お嫁がいらなきゃ餅やろか。」
「四郎はしんこ、かん子はかんこ、黍の団子をおれやろか。」

宮沢賢治 雪渡り (aozora.gr.jp)


( 2022.1.3~4 Twitter より )