芝蘭(しらん)の花でこしらへた
花かづらをば手に持って、
狂ひあこがれつゝ來やったげなが、
それを掛けうとて柳の枝に、
よづれば枝の無情(つれな)うも、
折れて其身は花もろともに、
ひろがる裳裾にさゝへられ、
しばしはたゞよふ水の面。
いまはの苦痛をも知らぬげに、
人魚とやらか、水鳥か、
歌ふ小唄の幾くさり、……
( シェークスピヤ「ハムレット」
第四幕 第七場 坪内逍遥 訳より )
ハムレット (salterrae.net)
( 2021.9.6 Twitter より )
みなもと太郎さん
漫画家みなもと太郎さんの訃報。
「ハムレット」
「モンテクリスト伯」
「シラノ・ド・ベルジュラック」
幾つかの作品を思い出す。
「レ・ミゼラブル」
可愛い表紙と強烈なギャクの
ギャップにまず驚いたけど、
コゼットは愛らしく、
ジャン・バルジャンが
ほっこりしてたっけ。
「ハムレット」のオフェーリアが
「わたちおそらをとべるのよー」
(だったかな……)のセリフとともに
落ちていくシルエット。
哀切でありながら
突き抜けたギャグは、
忘れがたい……
心に残る作品たちを
ありがとうございました。
どうか安らかに……
( 2021.8.20/9.6 Twitter より)
惑星
惑ってはいない、
さまよってもいない、
軌道をめぐっているだけ、
私はかがやく恒星のとりこ。
波をわたり季節をめぐり、
私のかげは、
地上のいのちとおどる、
とらわれる器ひとつ無いまま。
かりそめの光、
かりそめのそよぎ、
たわむれるひととき。
私はすべてにやどる、
いく道すがら……
( 2021.8.29 Twitter より )
わきて流るる
みかの原
わきて流るる
泉川(いづみがは)
いつ見きとてか
恋(こひ)しかるらむ
(小倉百人一首)
中納言兼輔(27番)
『新古今集』恋・996
( 2021.8.19 Twitter より )
吾亦紅(ワレモコウ)
真珠の百合の冠よりも
海の底の赤い花がすき
ゆれるお日さまみたいな
赤い花の輪かざりがすき
歌えないけれど
二度と歌えないけれど
あなたのそばで
あなたの声をきく
二本の足で
あなたと歩く
それだけ望んだの
望んだのは私なの
そして私は風になった
お日さまにてらされ
赤い花をゆらす
そよ風になったの
人魚姫(Bing Image Creator) – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)