みそぎぞ夏の(Bing Image Creator)


風そよぐ
ならの小川の
夕暮れは
みそぎぞ夏の
しるしなりける

従二位(藤原)家隆
(小倉百人一首 98番 『新勅撰集』夏・192)


今日は新月……
旧暦の夏越しの大祓(6月末)は、
ちょうど今頃に行われたのかな?
衣服を新しくしたり、水辺の禊で
日々の穢れを浄める六月祓。
(旧暦の大晦日と対になる)
そして旧暦の七夕、お盆……と
古来の行事が続いていく。
(旧暦の小正月と照応する)

月の満ち欠けによって季節を刻む
太陰暦のときの流れを夢想すると、
暑さがほんの少し和らぐような……


( 2023.5.19 イラスト作成 Bing Image Creator )


みそぎぞ夏の – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


夕涼み


暑中お見舞い申し上げます。

太陽がまぶしい日々ですが、
お体を大切に、良い夏を
お過ごし下さいますよう。

日が暮れたら、一息ついて
夕涼み……☆ (*^-^*) ☆


   2024.8 fairy-scope


お魚はいかが?(Bing Image Creator)

魚籃(馬郎婦)観音の伝承より


かぎりない海原の
打ち寄せる波音のように
知恵の言葉をそらんじて、
もし唱えてくれたなら
私はあなたのもの。

私の館は天の川の中州、
船には星の翼
春には花の宴。

災いや疫病をもたらす鬼ども
精霊やら毒龍やらを
しりぞけ遠ざけ
波間に浮かぶ灯のように
かがやく私はほら、ここに。

荒地をうるおし痛みもいやす
仙薬で満たした貝はいかが?
お魚はいかが?


( 2023.1.5 Twitter より )
( 2024.7.4 加筆 )
( 2024.7.4 イラスト作成 Bing Image Creator )


お魚はいかが?(推敲) – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


山のくちなし


耳なしの
山のくちなし
えてしがな
思ひの色の
下染めにせむ
  よみ人しらず

( 古今和歌集 19巻 1026番 [詞書]誹諧歌:題しらず )

耳成山(ミミナシヤマ)の
クチナシという言葉遊びに、
山吹色の染料(クチナシの実)と
秘めた恋心とを織り込んだ歌。


山吹の
花色衣
主や誰
問へど答へず
くちなしにして
  素性法師

( 古今和歌集 19巻 1012番 [詞書]誹諧歌:題しらず )

僧がまとう山吹色の法衣の染料は
クチナシの実が素材ゆえの洒落。

古今和歌集/巻十九 – Wikisource


山吹色は僧の法衣のイメージから
俗世を離れたストイック(な恋)の
含意を帯びるようになったのだろうか。
山吹の花はカガミグサ、オモカゲグサ
とも呼ばれ、忍ぶ恋の伝承を持つ。
純白なクチナシの花と甘い香りとが、
浮世を離れた山吹色の印象と結ばれた。

古今和歌集「くちなし(と山吹)」から
多層的で詩的な言葉が共有されたことを
伺い知る。

暮らしに根差した植物の色や香りが、
移ろいゆく花々の風情が、
伝承などに由来する草木の呼び名が、
豊かな語りの時空間を人々に共有させ、
培われたその土壌はやがて、
個人の秘めた内面を重んずる文学性を
和歌にもたらしたのではなかろうか。


オモカゲ草 (the-wings-at-dark-dawn.com)

今か咲くらむ山吹の花 – あかり窓 (memoru-merumo.com)


( 2023.7.3 & 2024.6.17~18 イラスト作成 Bing Image Creator +写真加工 )