こだま


合わせ鏡の迷路を
たどれば銀の光の
万華鏡がひらく道
雪どけのしずく雨
水面をかなでる風
淡くひびくこだま

いまだ恋の祝祭は
始まらず待つのみ
春の女神の訪れを
ひたすらに…ほら
合わせ鏡の迷路の
すきまから射す光

万華鏡がひらく朝
人は知る宴の刻を
鳥も草も虫もみな
いっせいに華やぐ
そのとき私は眠る
波音と月影の底に

春待つ森の乙女は
祝祭の宴を支度し
再び歌を思い出し
笑い舞え……ほら
花園うつす水鏡に
こだまする金の光



( 2025.1.29 イラスト作成 Bing Image Creator )