Hide and Seek by Walter De La Mare(小山鬼子三 訳)


Hide and seek

Hide and seek, says the Wind,
 In the shade of the woods;
Hide and seek, says the Moon,
 To the hazel buds;
Hide and seek, says the Cloud,
 Star on to star;
Hide and seek, says the Wave,
 At the harbour bar;
Hide and seek, say I,
 To myself, and step
Out of the dream of Wake
 Into the dream of Sleep.

( Walter De La Mare “Peacock Pie” )


かくれんぼ

かくれんぼしましよと
  森の木陰で 風が言ふ
かくれんぼしましよと
  榛(はしばみ)の若芽に月が言ふ
かくれんぼしましよと
  み空の月に 雲が言ふ
かくれんぼしましよと
  港の砂州に 浪が言ふ
かくれんぼしましよと
  わたしや自分に ひとり言
現(うつつ)の夢から飛出して
  ほんとの夢にもぐりこむ


(著者注釈)
遊戯氣分で萬物を見るあどけなさ、無邪氣さ、
それに應じた平明な、素朴な表現、相待ちて
軽妙明快な感興を與へる。”Peacock Pie”から
採る。
harbour bar
港口の砂州で浪が打寄せるところ。
step Out of the dream of Wake
Into the dream of Sleep.
現實の夢幻境から一轉して眞の夢幻境に入る。
眠について夢を見る。


「英国児童詩選集 小山鬼子三 編」p.78-79 より
(文明書院 大正13年6月11日印刷 15日発行)


ほたるこい(Bing Image Creator)


ほ ほ ほたるこい
あっちの水は苦いぞ
こっちの水は甘いぞ
ほ ほ ほたるこい

旅は道づれ
世は情け
そでの露にも
よりそう光
きっと明日は
よくなるさ

ほ ほ ほたるこい
ちいさな提灯
さげてこい

ほ ほ ほたるこい
ほ ほ 山道こい


(わらべ歌と諺より)


( 2025.7.5 &14 イラスト作成 Bing Image Creator-Copilot Aqua +微修正 )


ほたるこい – ぶるーまーぶる


The Listeners

The Listeners
by Walter de la Mare

‘Is there anybody there?’ said the Traveller,
   Knocking on the moonlit door;
And his horse in the silence champed the grasses
   Of the forest’s ferny floor:
And a bird flew up out of the turret,
   Above the Traveller’s head
And he smote upon the door again a second time;
   ‘Is there anybody there?’ he said.
But no one descended to the Traveller;
   No head from the leaf-fringed sill
Leaned over and looked into his grey eyes,
   Where he stood perplexed and still.
But only a host of phantom listeners
   That dwelt in the lone house then
Stood listening in the quiet of the moonlight
   To that voice from the world of men:
Stood the faint moonbeams on the dark stair,
   That goes down to the empty hall,
Hearkening in an air stirred and shaken
   By the lonely Traveller’s call.
And he felt in his heart their strangeness,
   Their stillness answering his cry,
While his horse moved, cropping the dark turf,
   ‘Neath the starred and leafy sky;
For he suddenly smote on the door, even
   Louder, and lifted his head:-
‘Tell them I came, and no one answered,
   That I kept my word,’ he said.
Never the least stir made the listeners,
   Though every word he spake
Fell echoing through the shadowiness of the still house
   From the one man left awake:
Ay, they heard his foot upon the stirrup,
   And the sound of iron on stone,
And how the silence surged softly backward,
   When the plunging hoofs were gone.

https://en.wikisource.org/wiki/The_Listeners_(de_la_Mare)


聴いている者たち 
ウォルター・デ・ラ・メア – Wikipedia


「誰かおらぬか?」
旅人は言った、月明りのもとに
ほとほと戸を叩きつつ。
彼の馬はひっそり森の下草のシダやら
葉やらを食んでいた。そして
旅人の頭上、一羽の鳥が
櫓(やぐら)から舞いあがった。
彼は今ひとたび、ごとごと戸を叩いた。
「誰かおらぬか?」
彼は言った、けれど旅人のもとに
誰も降りてはこなかった。
葉に絡まれた高楼跡から身を乗り出し、
彼の灰色の目をのぞき込む者は、誰も。
彼は困惑し、その場に立ち尽くしたが、
あばら屋に住まわる幻の聴き手たち、
その主はただ、じっと聴き入っていた。
月明りの静けさの中、
男たちの御世からの、あの声に。
月影もおぼろな暗い段にひしめいて、
うつろな寄り合いの場へと、
耳傾けながら降りてくる者たち……
ひとりぼっちの旅人の呼び声に、
かき乱され揺さぶられる夜風に、
耳傾けながら降りてくる影たち……
ふいにドンドンと戸を拳で打って、
さらに声荒らげ、こうべを上げたとき、
ふと彼は、胸の内に妖しの者らを感じ、
己の嘆きに応えている静けさに触れた。
(葉隠れの星空のもと、
彼の馬はずっと暗い芝草を食んでいた)
「みなに伝えよ、我は来た、と。
そして応える者とてなかった、と。
これで、我が約束は果たしたぞ」
と、彼が言ったとき……
影に満ちた静かな楼をつんざき木霊す
その呼ばわりにも、聴き手らは
そよとも動じなかった……ただひとり
目覚めたままの男の言葉にさえも。
ああ、彼らは聴いた、
鐙(あぶみ)に彼の足がかけられ、
鉄がカツンと石を踏む音。そして、
沈み込む蹄の音を消し去りながら、
すぅっと沈黙の波が引くのを。


( 2025.7.3 拙訳&意訳 by fairy-scope )