セリ科の花傘(オルラヤ)


セリ科 – Wikipedia

> 特徴的な散形(傘形)花序をつけるので、古くは散形科または傘形科(さんけいか)と呼ばれた。ラテン名の代替名である Umbelliferae も同じ意味である。牧野 (1940) はからかさばな科と訳している。(Wikipediaより引用)

Orlaya grandiflora — Wikipédia

公園に咲いていた白い花。
検索したら、オルラヤという名らしく、
花傘をつけるセリ科の植物とのこと。
デ・ラ・メアの詩に登場する
ドクゼリもその親戚だという。

straying, The harsh hemlock’s pale umbelliferous bloom Tentingnook, dense with fragrance and secret with gloom, In a beaming of moon-colored light faintly raying. On buds orbed with dew phosphorescently playing. Came a Stranger — still-footed, feat-fingered, clear face Unhumanly lovely: . . . and supped in that place.

惑わしき夏至の真夜中、
鬱蒼としたドクゼリの青白い花の傘、
その天幕のすみっこで、みっしりと
香りと暗がりの秘密に包まれ、
月影からひとすじ光が淡く射していた。
つゆに濡れた蕾に、燐光が宿っていた。
と、そこに見知らぬ人がやって来て―
足取りはひそやか、指先は器用で、
きれいな顔は、人とも思えぬ愛らしさ
…そして、そこで一杯やったのさ、
ちょっと一杯、ね。


“DOWN-ADOWN-DERRY” Walter De La Mere 1922 より
( 2025.5.20 拙訳&意訳 by fairy-scope )


鑑賞用のオルラヤよりもワイルドな、
生い茂るドクゼリの青白い花傘。
その花傘を天幕にたとえ、花の隙間から
漏れ来る月光でかすかに照らされた
暗がりに、見知らぬ人が訪れたという
「ただ一晩の甘美な思い出」

見知らぬ人が「ちょっと飲んだ」のは、
あるいは燐光を放つ蕾のつゆだろうか。
見知らぬ人は、ドクゼリの花影に憩う
異界からのちいさな旅人かもしれない。

鬱蒼とした茂みに宿る花影の世界を、
そっと覗き込むような優しい月明り
……詩人の眼差しと語りとに誘われる。


THE STRANGER – ぶるーまーぶる

下降する眼差し – ぶるーまーぶる

”THE STRANGER” Walter De La Mere(Bing Image Creator) – ぶるーまーぶる